【住宅設定 に関する一考察】 元海上自衛官 1 等海佐 横田文夫

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【経歴等】
〇氏 名:横田文夫
〇自衛隊歴
・元航空自衛官: 1 等空士(航空学生)( 1 年)
・元陸上自衛官:陸士長(普通科)( 5 年)
・元海上自衛官: 1 等海佐(水上艦艇) 32 年)
〇現 職:十八銀行 6 年)
〇居住地:佐世保市
〇引越回数: 24 回

住宅設定に関する一考察


【本文】

はじめに
先ずは、現役の陸海空 自衛官の皆さまに対し、日ごろの国防への献身と尽力に対して心からお礼と感謝を申し上げます。

皆さまのご活躍を OB とし て 大変頼もしく 、 信頼し、また、 応援しております。
今回、陸自不動産の小松野社長様 から本コラムへの投稿依頼を受け ましたので、自衛隊OB の立場として、私見を述べてみたいと思います。


本コラムの読者は、これから自宅を持とうとしておられる比較的年齢の若い方が多いでしょうか。

ここではそのような方を想定し、どちらかというと一般的な内容になるかも知れませんが、住宅取得に際して参考にして頂きたい事項について述べてみたいと思います。

皆さまの何らかのお役に立てば幸いです。


1 人生の三大資金

皆さんは、人生の三大資金というのをご存じでしょうか。

人生でお金がかるベスト3のことです。

それは住宅資金教育資金及び老後資金と言われています。

細かい金額は省略しますが、いずれも千万円単位の極めて大きな支出となります。

正直なところ、自衛官の給料でこれらの三大資金を準備するのには、相当の努力と準備と忍耐を必要とします。

今回は、このうちの住宅資金に関連する内容について述べます。


2 自衛官の経済観念
最初からですが、少し耳の痛い話しをします。
自衛隊が戦闘に臨むに際しては、事前に作戦や戦闘遂行に必要な知識や技術を習得し、個人単位から部隊レベルに至るまで、何回も何回も反復訓練し、練度を向上させます。また、敵情に関する情報を入手し、必要な作戦資材や後方物資も整えるでしょう。

もし、そのような訓練も準備もせずに戦ったならばどうなるか、その結果は言うまでもないでしょう。


ここで考えてみて欲しいのです。

一般的に自衛官の皆さんは、金銭や経済について真剣に考えたことがほとんどなく、

いわゆる「経済に疎い」という実態があるように思われます。

あなたは大丈夫ですか。今回、自宅を設定するに際して、戦いに臨むような真剣さをもって知識を身に着け訓練していますか。

特に、住宅資金は金額が大きいだけに、もし失敗した場合には自己破産に陥ることもあり、人生の幸福にとって致命的な失敗となる…

恐れもあります。
極論かも知れませんが、人生は一種の戦いの連続といえるのではないでしょうか。

小競り合いでの失敗は良くあることです。

しかし「致命的な失敗」、すなわち二度と立ち直れないような失敗は断じて避けなければなりません。


そのためには、当事者としてご自身でしっかりと準備する必要があるのではないでしょうか。


3 物件について
(1)立 地
戸建てとマンションとでは若干の差異があるかも知れませんが、

特にマンションの場合は、一にも二にも立地

と言われることがあります。

都心だと駅からの距離が徒歩5 分とか7 分以内でないと人気や値段が下がるとも言われています。
また、最近は災害も大きくなっています。

毎年、台風や水害による大きな被害が発生しています。

居住予定地が安全な場所なのか、自治体が出している

ハザードマップでチェックすることをお勧めします。


将来的には家族構成が変わります。

20 年も経てば子供は巣立っていきます。

何年か後に転勤で手放す必要が生じるかも知れません。

その時にその自宅を賃貸に出したり売却することができますか。

借り手や買い手が見つかる立地にありますか。

そのようなことも考慮に入れてみてはいかがでしょうか。

(2)資産か負債か
九州では、戸建てもマンションも約3000 万円と言われています。

その手に入れた自宅は、とにかく自分のものだから資産だと言えるでしょうか。

ここでは、資産とは買った時の価値と同等かより高いもの、負債とはその逆で買った時の価値より

低いものと定義してみます。

例えば前の例で3000 万円で買った家が20 年後も3000 万円で売れたら良い買い物だった、資産だと

言えるかも知れません。一方で、評価額は土地代1000 万円だけで、しかも買い手がつかなくて売れ

ないとなったら、それは単なる負債ではないでしょうか。

 

次に売却するときの価値(リセールバリュー)も考慮してみてはいかがでしょうか。


(3)利便性
最近は「買い物難民」という用語もあります。特に佐世保や長崎のような山の中腹に住んでいて車が使えない老人にとっては、買い物もひと苦労です。

大村は平地で便利そうですが、車がなかったりバス停から離れていると日常生活に支障が生じるかも知れません。

若い時だけでなく歳を取ったときのことも考慮しておきましょう。


(4)将来の利活用見込み

自宅購入に際して、30 年くらい先の状況を想定してみませんか。

将来も生涯その家に住み続けるのか、子供が巣立ったら売却するか賃貸に出して町中のマンションに住み替えるのか。

老人ホームに入るのか。人生計画は人それぞれですが、自分の人生計画にマッチしているか良く検討してみましょう。


4 自宅取得以外の選択肢
(1)官 舎
基本的に、自衛官は空室があれば官舎の貸与を受けることが可能です。

賃貸料金は民間に比べて圧倒的に格安であり、職場にも近い。

現役ならば、この特権を利用しない手はないのではないでしょうか。


(2)公営住宅
県や市が運営する公営住宅も比較的安価に居住できます。若い人が対象になるかも知れませんが、各自治体が定める収入や家族構成等の入居条件に合致するなら、選択肢の一つに入れてみてはどうでしょうか。


(3)賃貸住宅
自宅か賃貸かという問題提起がよくあります。どちらにも一長一短があるので、結局はその人次第ということかも知れません。

ただし、自宅を保有するということは、大きなローンを抱えることがほとんどであり、しかも転居はそう簡単ではなくなります。

また、自宅のオーナーとして天災被害やその他のあらゆるリスクを長期間にわたり負うことにもなります。

自宅を設定するんだという精神的にホットな状況になると、この辺りについての目がくもる場合があります。

ご自身の判断を一度、冷静に振り返る機会をもってみても良いのではないでしょうか。


(4)相 続
現在の日本は少子高齢化の状況にあり、今後もその傾向に大きな変化は見込まれません。これに伴い、近年、空き家の増加が社会問題として指摘されています。
もし、夫婦のうちどちらかが、あるいは両方が家を相続する可能性があるならば、それも含めて判断した方が良いかも知れません。


5 金融機関の上手な利用法
以上のようなことを考慮しても、やはり自宅を購入するのだと決心したとします。キャッシュで購入する人は別として、ほとんどの人は銀行の住宅ローンを利用することになるでしょう。

その時に、あなたは住宅ローンに関する十分な知識を持っていますか。

建築業者に言われるままにローンを組もうとしていませんか。


先ずは、なるべく早い時期に近くの銀行で相談することをお勧めします。


私の勤務している銀行には、ローンプラザという住宅ローン専門部署がありますので、ご自身の疑問や不安に的確かつ誠実に対応してくれます。

餅は餅屋と言います。銀行員の専門知識を利用し、納得した上で決心すれば良いのではないでしょうか。


6 不動産業者の上手な利用法
不動産業界は海千山千の世界だと言われています。一方で、読者の大多数の方は素人だと思います。

先ずは、信頼の置ける不動産業者に相談してみてはいかがでしょうか。

信頼の置ける業者とは、自分が納得できるまで誠実に対応してくれる業者だと私は思います。

 

おわりに…
以上、気が付いた事項について書いてきました。異論がある方がいらっしゃるかも知れませんが、あくまでも私的意見ということでご理解とご容赦をいただければと存じます。


お一人おひとりの環境条件が違うので、結局はご自身で納得のいくまで検討を加え、確認を行い、その上で決心されれば良いと思います。

そのときは、是非、金融機関や不動産業者の専門的な知識をうまく利用して下さい。

くれぐれも住宅取得で「致命的」被害を受けないよう、これだけは注意して頂きたいと思います。
住宅設定が円滑に完了し、自衛官の皆さんがご家族とご一緒に楽しい家庭生活を過ごし、そして安んじて任務に専念されますようお祈り申し上げます。

 

 

PS,

 横田元艦長は、現在は長崎県内大手銀行の部長職としてご活躍されています。

 その温厚かつ、人当りの優しいお人柄で、防衛省職員や自衛官諸兄にとても親身に

 接しておられます。

 住宅ローンに限らず、学資費用、介護費用、結婚養育等、人生の支出事に迷った際は 是非、お早めにご相談してみてください。

 お問い合わせ先:info@rikuji-fudosan.co.jp

         株式会社陸自不動産へ【横田様への相談】とご連絡ください。

 

  管理人:㈱陸自不動産